最近レビューの更新をサボっている。なろうの更新も止めた。なぜか。オーバーロードの11巻の発売を期に全巻読み直しているからである。
映画化が決まったそうだ。めでたい。ともあれ──。
以下、ネタバレにつき読みたくない方は即プラウザバック!
この作品は面白い。
理由を挙げてみよう。
・主人公が骸骨である。
・主人公が人間味溢れる悪である。
・とりあえず俺TUEEE。
・敵役が魅力的。殺すべきキャラクターはしっかりと殺し、散り逝くそのキャラクター一人ひとりにも細かな人生が語られる。
・適度なギャグ。
・真実の主人公、鈴木悟については一切語られない。
・魅力的な世界観
以上、ここに挙げた魅力は本作品の一側面に過ぎない。
小説を書くにあたり、最も重要なのはキャラクターである。
アルベド、デミウルゴス、シャルティア、コキュートス、アウラにマーレ。セバス。そして見目麗しきメイド達。どれも魅力的であり、ある意味人間味溢れていて個性的である(人間ではないが)。
そうした主人公側のキャラクター造詣に止まらず、主人公に敵対する側のキャラクター造詣についてもしっかりと作りこまれている。
そして、キャラクターが支える魅力的な世界。これについても同様だ。
かいつまんだ世界の歴史が語られる事がある。これがまたなんとも言えない。冒険者魂ではないが、バックストーリーへの探究心をくすぐる情報の出し方をしてくる。上手い。
そして、モモンガさん。
彼は普通の人間として描かれている。平社員から大企業のトップに突然据えられ、苦悩するギャップ。
ギャップが語られる事がこの作品においては特別多いことを皆さんお気づきであろうか。ギャップ萌えでは無いが、その出し方が上手い。
農民と戦士長。王女とお気に入りの兵士。無残に殺される兄と救われる妹。そういった演出がふんだんに出てくる。
つまり、伏線の回収の仕方が上手いのである。
風呂敷の畳み方が上手いというべきか。
例えばゴブリンの角笛。これはエンリヘ二つ贈られた。当初、作者は二つの意味をそこまで大きくは考えていなかったに違いない。だが、それを見事に回収してみせる。
モモンガさんが焦る描写。そして、絶対的支配者として「全ては我が計画通りだ」と嘯く姿。その仕草と伏線の回収の仕方がだぶる。意図してやっているのだとしたら、凄い事だと思う。
これこそ作者の自然となせる業なのではなかろうか。
何巻まで発売されるのかはわからないが、完走して欲しい。世界征服を成し遂げ、その後第二部でも第三部でも突入して欲しい。
一読者としてはただただ思い願うばかりである。
KADOKAWA/エンターブレイン (2012-07-30)
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