「学級日誌」は長編ノベルゲームです。
「学級日誌」は2011年の作品。学園モノの体を装っているが物語の核心はそこじゃない(マテ。
身体的、精神的に弱い立場にある子供たちの終わりまでを描いたノベルゲーム、と作者様よりありますように、群像劇です。
文学調と思われる出だしで始まるこの作品ですが、延々とシリアス展開が続くわけではありませんでした。
序盤は音楽や文学の知識があるとより楽しめると思います。
中盤から後半。物語の核心部分がはらりはらりと、年季の入ったひび入りの陶器が少しずつ欠け行くように不穏な要素が漂い始めます。
SFと申しましょうか、セカイ系と申しましょうか。少しずつ、じわりじわりと世界観の説明が描写となって説明されているわけですが、
ここで一言!
めったに苦言を呈するがごとき感想など書かない私なのですが、今回ばかりは言わせてください。
なにぶん古い作品ですので、現在の作風とはかなり異なると思うのですが、それでも思うところはありまして。
アイデアと発想はとても良いと思います。しかしながら物語の構成バランスの関係で全てを打ち消しています。
描くべき描写は描く、削るべき描写は涙を呑んで削る。
少なくともこれが必要です。
(とはいえ、サッカーのアクションシーンは良かった)
で、改善案なのですが、
例えば、登場人物が多いので削る、あるいは登場機会を極力減らす事を考えてみてはいかがでしょうか。
自分であれば「弱い子どもたちの最期まで」と言うテーマと反するところはあるでしょうが、まずは登場人物の人数を減らし、序盤のピアノに惹かれる主人公からボーイミーツガール、この二人を中心に話をまとめて発展、展開させてゆくでしょう。
物語の核心となっているとある事象についても、あくまで主人公と最初の女の子、この二人だけで完結させ、二人とそれを取り巻く周囲、と言う形に落ち着かせた方がむしろテーマを強調するのではないかと愚考します。お話の焦点がすっきりすると思えるのです。
しかしながら、心を打つ言葉はありました。
『希望を持ち続ける事』。これです。
HPを伺いますと、三作目を作成中との事。
期待したいと思います。
128,417 kb
制作ツール
NScripter
製作者
KITY
公開日
2017-12-09
URL
https://www.freem.ne.jp/win/game/16355
https://kity-games.themedia.jp/
この「学級日誌」は、約120分ほどの作品です。この作品については、きちんと計測できていません。酷くザックリとした目安とお考えください。
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- 雑食です。
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