ロードス島戦記。初めて読んだ時には「何だこの下手糞な文章は」と思ったのを覚えています。それほど酷かったのです。最初期は。
ところが読み終わる頃には物語の世界に完全に引き込まれていました。全巻揃えていました。さらにロードス島、そしてソードワールド、クリスタニアと揃えていました。
このロードス島戦記、途中つたない部分……例えばマンティコアが出てきたり、あまりにゲームゲームしているシーンはありました。しかし全体を見てこの物語、正統派のヒロイックファンタジーです。気付けばフォーセリアの世界へと惹かれている自分がいました。今のラノベやアニメに見られるような……NHK大河ドラマでさえそうですが、生ぬるく甘たるい世界観ではありません。冗談や誤魔化しのギャグで表現を和らげる展開など一切無いのです。
当然ラブコメ展開などはありません。そんな中、敵も味方もバタバタと死んでいきます。容赦なくそれが描写されます。だがそれが良い。むしろそれが良いのです。定命のパーンと不老不死のディードリット、死すべき定めの人間と永遠の魔女カーラ、不死を得た魔術師バグナード。そして神話の時代から生を繋ぐ世界最強の存在である古竜達。常命の者と永遠の命を持つ者。巨大な力とか弱き力。強大な力を持つ神々と無力な人間。そのテーマの対比がキャラクターを変え世界観を変え、物事を変え円環となって繰り返されて紡がれて行きます。そのスケールは圧倒的です。
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