ヴァルハラの晩ご飯 ~イノシシとドラゴンの串料理~。第22回電撃小説大賞<金賞>受賞作ですね。
まず北欧神話。そして古エッダを学習しましょう。さもなくば何一つ作中の用語が理解できません。その点では敷居の高い物語となっています。
ここからは、読者の皆さんが北欧神話の知識を一通り持っておられると仮定して書いていきます。
まず文体。読みやすいです。アイデア。GOODだと思います。残酷描写。あんまりありません。ですが、死は死。地域社会の形骸化と核家族化が進み、死を身近に感じる事がなくなったとはいえ死ねば終わりです。普通は。「なろう」や「ゲーム」の中では死んでからが勝負のものもありますが、普通は命は一個です。ご利用は計画的に。
この作品は毎日「死」が義務ずけられている存在。その彼が主人公です。主人公は死んでも生き返る宿業を背負っています。そして主人公の亡骸は毎日戦士たちの食卓に饗されるのです。つまり主人公は「食材」なのでありました。
と、言う事で物語の掴みもGOOD。読者を興味を引く事が出来ると思います。あと、最近の作品で大切なのは女の子。可愛いヒロインの存在が不可欠です。
ヒロインは戦乙女の女神ブリュンヒルデ。彼女の事は永遠の中二病である皆さんなら当然のように良くご存知のことと思います。ただ、ニーベルンゲンの歌などに出てくる彼女とは違い凶悪な鬼神めいた存在ではありません。優しく慈愛に満ちた存在です。お約束として戦闘力は半端無いですが、優しい女神様です。主人公はその種属性もあり、このブリュンヒルデ様のふくよかな胸にも抱いてもらえます。これで掴みの二つ目もクリアです。これで大半の読者のハートはいただきです。
あと、特徴的な存在としてロキが挙げられます。トリックスターである彼も出てきます。主人公の味方をしてくれ、色々と便宜を図ってくれます。男はどうでもいいのでしょうが、物語に相棒は必要です。その役割を彼が担ってくれます。とはいえ、最近の物語ではヒロインが相棒を兼ねる事も多いですが。
つかみさえ良ければあとは展開です。
主人公の死んでは生き返るという能力にはある秘密がありました。その秘密や、ルーン魔術を使って主人公は降って湧いた危機を潜り抜けていきます。それはやがて世界を揺るがす……まぁ、お約束です。ゆるふわ。でもちょっとだけピンチ。これの物語はそんな筋の軽いお話です。
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